龍泉窯「粉青と梅子青の違い」中国麗水市青磁博物館 館長に聞くChina Longquan Celadon, Powder Blue, Plum Green Glaze

こんにちは Shiha Tea & Comfortです。本日は中国龍泉窯の青磁についてのお話です。

本日中国浙江省麗水市にある青磁博物館の館長 葉英挺(イエ インティン)さんが 当店に遊びに来てくれました。青磁のお話を聞かせてくれ、そして私の個人的な青磁への質問に、ひとつひとつ丁寧に答えてくれました。

麗水市青磁博物館ウェブサイト: http://www.lsmuseum.com.cn

葉さんは、師範大学の中文を教えていたこともある、教育者。お話はとてもわかり易く、深い。以下、教えていただいたことをシェアします。

葉さんのお名前は簡体字では 叶英挺です。葉は叶と書きます。

青磁の釉薬の名前と色について

「韓国の新安船の展示でみた下記の香炉の釉薬の色の名前を教えてほしい」とお尋ねしました。

葉先生は「これらは全て梅子青です 」 との回答です。

粉青と梅子青の違い

予想外の回答で、引き続きお伺いしました。

Shiha「全て梅子青ですか?色んな色がありますが」
葉さん 「粉青にも無数の色があり、梅子青にも無数の色があります

Shiha「では、粉青と梅子青は色のことではないんですね」
葉さん「色でもあります」

Shiha 「どういうことですか?」
葉さん 「粉青と梅子青 は本質的に違うのです

粉青の本質

(注意:陶磁器、美術工芸品、骨董品は、日中で様々な定義 ・品質・審美の基準が違う場合があります)

青枠内、葉さんの説明です。

淡雅であることが粉青
亜光内斂であること

淡雅は「温柔,温和,平淡。光沢はあまりない」
亜光(亚光)は「つやがない、マット」
内斂(内敛)は 辞書では「内向的である.表に出さない、含蓄のある.味わい深い」となってます。葉さんの説明では、「光を放つのでなく、内に光を収める」という感じ。「人でも光を放つ人、おさめている人がいますね」と説明してくれました。

・釉薬はあまり流動なく全体に均一( 釉面不易流动)
・釉薬の層は薄い

葉さん「粉青は主に宋代に作られました。」

粉青は月白蟹青とも言われるそうです。

梅子青の本質

艶麗 (艶やかで美しい)
亮麗 (鮮明.輝かしい.目にも鮮やか)
光芒(光を放っている)
外露( 外に表われる,面に表わす)

・釉薬は流動があり均一でない( 釉面”流动” )
・釉薬の層は厚い

葉さん「主に、元、明時代に作られました」

粉青と梅子青の比較

頂いた写真をまとめました。前述の”本質”で見ると、確かに分類が分かります。

釉薬の材料( 粉青と梅子青 )

粉青ある種の石が原料(”龍泉石”と呼ばれている)
梅子青複数のものを混ぜている(草木灰、石など)

以下、葉さんより頂いた写真です。粉青の釉薬の原料である石です。 ”龍泉石” と呼ばれるもので宋の時代から残されたものとのことです。内側が青色を呈しているのが分かります。

この石を使って、試験的に焼成をしてみたそうです。その時は十分な色にならなかったと言われていました。

下の写真は梅子青釉の材料の配合の研究をしているところだそうです。

元の浮足の香炉について

韓国の海洋博物館で、この香炉を見たときには、足が短いことに衝撃でした。その時の展示品は「韓国木浦の沈船、新安船」ブログにまとめました。

千鳥香炉」と呼ばれる、足が浮いたものはありますが、この展示の香炉は浮きすぎでは…と気になりました。しかし、調べてみると元の時代のスタイルということが分かりました。(調査ブログは以後ポスト予定)

今回、葉さんに聞いてみました。

Shiha「この足が浮いている香炉は、元の時代、美しいと思われたのでしょうか。日本の博物館で宋時代の香炉を見て美しいと思いました。しかし、この浮足の香炉を見た時は、もしかして正規品でないのかと思ったんです。」

葉さん「もちろん、 ニーズがあって制作されたものです。審美は時代によって変わります。宋代の粉青の精緻な香炉を作るには、コストも高く、値段が高くなります。人々がそのようなものは、高いので買えない、必要ないとなると、作る側は、値段(質)、スタイルともニーズに合わせていったと考えます。」

葉英挺さんは、青磁の本を何冊か書かれています。こちらの本「北宋官窯在龍泉」はShiha Tea & Comfortにプレゼントしてくださいました。

以上、中国麗水市青磁博物館 館長から聞く青磁のお話でした。

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